コロナ禍の和歌山 〜みかんとパンダとオンライン〜


新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大が始まってから、私たちの生活は大きく変わってしまいました。

このような状況だからこそ、筆を執らねばと思い、この記事を書くことにしました。
 
未曾有の危機の中、和歌山の人々はどのように過ごしてきたのか。その軌跡を辿っていきましょう。
 
 
 
 
国内初の院内感染と、ある農家の挑戦
2020年2月13日。湯浅町内の病院に勤務する医師が、新型コロナウイルスに感染していることが判明。

その後、同僚や入院患者らの感染が分かり、病院関係で11人もの感染者が出る国内初の院内感染事例となりました。
 
その時、特産品であるみかんを使ったイベントを企画していた「善兵衛農園」の井上さん(湯浅町)は、厳しい状況に立たされます。
 
当時、新型コロナの感染者は日本全体でも数十人程度で、未知のウイルスに対する人々の目はとても厳しいものがありました。

そんな中、院内感染が起きた町でイベントを開催することに批判を受ける可能性があったからです。
 
しかし井上さんは、「どんよりした和歌山の雰囲気を打破したい」と、感染対策を行った上でのイベント開催を決めました。
 
そして2月22日、町内外の農家の協力を得て、日本全国の柑橘63品種が終結。『柑食祭』と題し、参加者約30人が味の違いを楽しみました。
 
井上さんのことは、このブログでも以前ご紹介させていただいたことがあります。



新しい旅の形〝オンライン宿泊〟
新型コロナウイルスはさらに日本国内で拡大を続け、3月上旬には小中学校・特別支援学校の一斉休校の措置が取られました。
 
さらに空港での検疫や入国者の隔離等が義務付けられ、国をまたいだ往来がほとんどできなくなりました。
 
那智勝浦町にあるゲストハウス「WhyKumano」は、世界遺産・熊野古道を歩く外国人観光客が多く宿泊し、地元の人との交流が楽しめる場所でした。

予約のキャンセルが相次いだことを受け、初の試みとして“オンライン宿泊”のサービスを開始。

WEB会議サービス「Zoom」を使用した画期的なサービスで、これまでにない旅の仕方として話題になりました。
 
4月16日、緊急事態宣言が全国に拡大され、都道府県をまたぐ往来の自粛要請がなされたこともあり、“オンライン宿泊”は様々なメディアで取り上げられ、宿泊希望者は増加。連日満床となります。

毎月のように稼働率100%を達成し、多くの人が和歌山に触れる機会を生み出しました。

この〝オンライン宿泊〟に参加した人が、その後実際に熊野を訪れる、という流れもできつつあるそうです。



和歌山県民に夢を、日本中にパンダを
和歌山県が緊急事態宣言の区域から外れ、外出自粛要請が緩和された5月21日、白浜町のアドベンチャーワールドが県民限定で一部営業を再開しました。

WEBでのチケット販売や入場制限等の感染対策をとった上で、入園料も半額にして県民の来園を歓迎。
 
さらに同日、動物たちが生き生きと暮らせる環境を作るためのクラウドファンディングも開始されます。

スタートからわずか20分で目標の500万円を集め、最終的になんと全国から7000万円もの支援が集まったそうです。

7月2日には公式オンラインショップがオープンし、新型コロナの影響でなかなか来園できない全国の人々に喜びを提供し続けています。

その他にも、人々を喜ばせるための様々な取り組みを積極的にされていますので、詳しくはアドベンチャーワールドの公式ホームページをご覧ください。

(写真はみなべ町のホテル。従業員の方の発案で、休業中に「ファイト!」の文字が映し出されました)


未知のウイルスの広がりによって見えてきたのは、それに立ち向かおうとする和歌山の人たちの姿でした。

現在、和歌山県内の新型コロナウイルス感染者は累計266人。

感染予防対策をしつつ、和歌山のためにできることから始めていきたいですね。

Kii Board

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